いくら頑張っても賃金は上がらず、若者に諦めムードが漂う一方で、高齢世代の意見が政治的影響力を持つ「シルバー民主主義」という状況が見え隠れする現代の日本社会。書店をのぞけば雑誌には「老害社会」という言葉も踊り、世代間の分断は広がるばかりのようにも感じられる。果たしてこのままでいいのだろうか。【賀有勇】 「老害」という言葉に嫌悪感 「嫌な言葉だなあ」 現在公開中の映画「PLAN 75」を手がけ、第75回カンヌ国際映画祭で新人監督賞の特別表彰を受けた早川千絵監督は、「老害」という言葉への違和感を語った。 「高齢化問題に対する怒りの矛先を、政府ではなく高齢者に向かわせた」。「敬老」の対極にあるような「老害」という言葉を雑誌やコメンテーターの発言などを通じて広めたメディアに、苦言を述べる。 「PLAN 75」は、高齢化が進む近未来の日本社会で、75歳以上が安楽死を選択できるプラン75と呼ばれる制度を