あえぐ捕虜に3発発砲 動かなくなるまで撃つ ウクライナ軍がロシア軍の捕虜を無残に射殺する動画がネット上に公開され、物議を醸している。 その動画がウクライナの通信社UNIANのテレグラムのチャンネルに投稿されたのは3月30日。米紙「ニューヨーク・タイムズ」の検証によれば、撮影されたのは、ウクライナの首都キーウ西部の町だが、正確な撮影日時はわかっていない。
ロシアによる侵攻を受けて、ウクライナ政府は徴兵を視野に成人男性の出国を禁じた。そのため国境や列車の駅では、退避する女性や子供たちが、夫や息子や父親との涙の別れを余儀なくされる姿が多く見られる。 一方、合法あるいは違法な手段を使って国境を越えた男性たちもいる。国のために戦うのか、家族と一緒に生き抜くのか──究極の選択のなかで後者を選んだ男たちの葛藤に米紙「ワシントン・ポスト」が迫った。 娘と離れたくなかった ドミトリー・アレクシーフ(34)は、家族を連れてウクライナ国境まで車を走らせた。検問所で、自分だけ止められる可能性もある。そうなれば、その場で2人の子供に別れを告げねばならない。 国境まであと1キロほどの地点で、アレクシーフがその可能性を子供たちに伝えると、12歳の娘は、離れるのは嫌だと言った。それを聞いた彼は父親として、次の言葉を絞り出すことができなかった。 ついに検問所に着いたとき、
2016年、会談するプーチン大統領とマドゥロ大統領 Photo by Mikhail Svetlov/Getty Images これは「必要な戦争」 ロシアによるウクライナ侵攻に世界中が震撼した。国際報道からも見て取れる通り、多くの国のリーダーがプーチン大統領を批判している。だが英紙「ガーディアン」によると、今回の出来事に別の見方をする国も少なくないようだ。 たとえばベネズエラの評論家、アルベルト・アランギベルは、プーチンによる侵攻を「必要な戦争だった」と語っている。また中国人学者の王朔(ワン・シュオ)は、今回の出来事は「アメリカが作り出した危機」だと指摘。「アメリカの戦略的利己主義が世界にさらなる災いをもたらした」と同氏は中国政府系の新聞「環球時報」に語り、ウクライナを戦争に巻き込んだワシントンの「利己的で短絡的な行動」を非難した。 さらに、メキシコ紙「ラ・ホルナダ」の論説委員は次のよう
世界最強の諜報機関と言われるイスラエル諜報特務庁、通称モサド。1998年から2002年までその長官を務めたエフライム・ハレヴィが、イスラエル紙「ハアレツ」に寄稿。ウクライナ侵攻後、プーチン大統領が早々に核のカードを切った理由、そしてアメリカが果たすべき役割について自身の見解を伝えている。 ロシアによるウクライナへの大規模侵攻開始から1週間と経たない2月27日、ウラジーミル・プーチン大統領は、東西冷戦の終結以来初めて「核の脅威」のカードを切った。これをおざなりに済ますことはできない。 通常戦力において、ロシアがウクライナに対し明確かつ圧倒的に勝っていることを考えれば、この作戦はプーチンにとって一見、自滅的にも思える。これほど早い段階でプーチンが核による脅しを持ち出す必要があるのだとすれば、その理由を真剣に分析しなければなるまい。
職場における賃上げ、労働環境の向上など、共通の目標を達成することを目指す労働組合。だが労働者として社会を支える日本女性たちの声はこれまで蔑ろにされてきた。職場だけでなく、労働組合そのもののなかにも性差別があるからだ。 ジェンダーギャップ指数120位のこの国における現状を、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が取材した。 労働組合ではびこる性差別 日本の女性たちはこれまで、労働組合で居心地の悪さを味わってきた。性差別が根強いからだ。賃金格差や職場でのセクシュアルハラスメントといった問題は、しばしば見逃されてきた。多くの女性たちは声もあげられないまま、労働運動に見切りをつけてきたのだ。 だからこそ、昨年の10月、日本最大の労働組合総連合会(通称「連合」)で初の女性会長が就任した際、昂ぶる気持ちは重苦しい疑念によって鎮められた。 新会長の芳野友子は、こうした雰囲気をよく心得ていた。労働運動に関わり始め
ウクライナ侵攻が起き、ポーランドやバルト三国など、ロシアと国境を接する国々は警戒を強めている。なかでもベラルーシとも国境を接するリトアニアは、ロシアと関係を強化する中国へも警戒を高め、台湾との関係を深めたことで中国から制裁を受けている。 そのリトアニア首相イングリダ・シモニーテがウクライナ侵攻を受け、英誌「エコノミスト」に寄稿した。 ロシアの脅威から目を逸らしてきた西側諸国 すべては起こるべくして起こったことだった。 1999年のプーチンによるチェチェン紛争は、西側諸国の目を覚ますきっかけとはならなかった。2007年のエストニアへのサイバー攻撃、2008年のグルジア紛争、2014年に始まるウクライナへの軍事侵攻と不当なクリミア併合もそうだった。これらの行動の不当性や責任を、ロシアはすべて否定している。 そして、政権に反対する者、「不都合な」目撃者やジャーナリストは、あからさまに数多く暗殺さ
男性が疎んじられていると感じ、あの手この手で女性を黙らせようとする──こうした過激な反フェミニズムの動きが、韓国の若者男性のあいだで活発になっている。そしてその勢いは、政治をも動かすほど増しているという。 韓国の首都ソウルで女性たちが性的暴力や性差別に抗議する集会を開くたび、若い男性の集団が姿を現す。彼らの大半が黒い服に身を包んでおり、抗議する女性たちを見下すかのようにこう繰り返す──「どすん! どすん!」。 彼らの言う「フェミニストの醜いブタども」が、歩くときに立てる足音を茶化しているのだ。 「男嫌いは出ていけ!」 若い男性たちはそう叫ぶ。 「フェミニズムは精神障害だ!」 町なかであれば、そうした声を耳にしても非主流派の極端な主張にすぎないと簡単に切り捨てられる。しかし、オンラインではそうはいかない。反フェミニスト感情は増幅されて無数の聴衆のもとへ届き、韓国社会と政治を悩ませている。 反
開戦から1週間も経たないが、ウラジーミル・プーチンが歴史的敗北に向かって突き進んでいる可能性がますます高くなっているように見える。たとえプーチンがすべての戦闘で勝っても、この戦争は彼の負けになりうるのだ。 プーチンが夢見るのはロシア帝国の再興だが、その夢ははじめからウソの上に成り立つものだった。並べられたウソ八百は、ウクライナは本当の意味では国ではなく、ウクライナ人も本当の意味では国民ではなく、キエフやハリコフやリヴィウの住民はロシアの統治を待ち望んでいる、というものだった。 だが、実際にはウクライナは1000年を超える歴史がある国であり、モスクワがまだ村でもなかった頃からキエフはすでに大都市だった。ロシアの独裁者はウソを何度もついているうちに自分でもそれを信じるようになってしまったに違いない。 裏目に出た「プーチンの賭け」 ウクライナ侵攻を計画したとき、プーチンには、すでにわかっているこ
中東ではない「文明化された国」で ロシアによるウクライナ侵攻は世界を震撼させ、各国メディアはウクライナ一色になった。だがその報じ方に、「不快なトーン」が混じっていると指摘する声も上がっている。 それは、ウクライナをイラクやアフガニスタンなどの中東と比べたうえで、より「文明化された国」という文脈に落とし込もうとするものだ。 米「CBSニュース」のベテラン戦争特派員チャーリー・ダガタは2月25日、ウクライナの首都キエフからこうリポートした。 「ウクライナは、失礼ながら紛争が何十年も続くイラクやアフガニスタンとは違います。ここは比較的文明化した、比較的ヨーロッパ的な国なのです。慎重に言葉を選ぶ必要はありますが、ここはこんなことが起こるなんて想像できなかった場所なのです」 “Civilized” pic.twitter.com/AiU7uVmjMr — Imraan Siddiqi (@imraa
「あの敵愾心の強いルサンチマンの運動に辟易している」 ──トッドさんの新著『彼女たちはどこからきて、今どこにいるのか?──女性史の素描』(未邦訳)が2022年1月にフランスで刊行されました。この本では「第三波フェミニズム」やジェンダー理論がかなりきつく批判されています。 あなたに言わせれば、そうしたものは男女の間に戦争を起こそうとするものであり、現実離れしたイデオロギーだとのことです。そんなことを言うと左派のお友達が離れてしまいそうです。どうしてそんな本を書こうと思ったのでしょうか。 おっしゃるとおり、私は第三波フェミニズムと呼んでいますが、あの敵愾心の強いルサンチマンの運動に辟易しているところがあるのはたしかです。そこはおそらく私の世代の男性たちと同じです。私の世代は徹頭徹尾フェミニズムでしたし、私の社会環境でもそうでした。 私が驚いたのは、このフランスに英米流のフェミニズムに似た、敵愾
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナに戦争を仕掛けるのか──。日に日に緊迫感が高まっている。だが、そもそもこうした「情勢」を作り出してきたプーチンの動機は何なのか? 世界的な歴史学者のニーアル・ファーガソンが、歴史家ならではの読み解きを展開する。 戦争が起ころうとしている。「とても喜ばしいとは言えない大北方戦争」だ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の心のなかではウクライナとの戦争は決まっている。 プーチンは2021年7月、「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性」と題した長い論文を発表し、ウクライナが独立している現状は、歴史的に見ても持続不可能な異常事態という偏向した主張をしていた。 これを読めば、1938年のナチス・ドイツによるオーストリア併合のような形でプーチンがウクライナを獲ろうと考えていることは一目瞭然だった。それに、その論文が発表される前から、ロシアは約10万人の兵
バイデン政権誕生から1年。いまだ混迷を増す米国社会に解決の糸口はあるのだろうか。さらに、米国の国際的なポジションも揺らぐなか、日米関係にも変化が起きつつある。朝日新聞元政治部長の薬師寺克行氏が解説する。 「分裂」と「衰退」──これらが今の米国を象徴する言葉だろう。トランプ前大統領が作り出した内政と外交の混乱の修復を掲げてスタートしたバイデン政権だが、現実は修復どころかより深刻さを増している。その結果、就任から1年目を迎えて、バイデン政権は同盟諸国からかつてないほどの不安と不信のまなざしを浴びている。 米国に最も良好な関係にあると言われる日本も例外ではない。昨年12月、米国がオンラインで開催した「民主主義サミット」をめぐる対立が日米関係の微妙な変化を示している。 このサミットは「民主主義対専制主義の戦い」を強調するバイデン大統領が民主主義の価値を訴え、民主主義国の結束を促すことが目的だった。
イタリアで19世紀の詩を題材にした女性像のシースルードレスが物議を醸している。 銅像の除幕式は先週末に南部カンパニア州サプリで執り行われ、ジュゼッペ・コンテ前首相も出席した。女性像は、イタリアの歴史的詩人ルイジ・メルカンティーニの詩「La Spigolatrice di Sapri」に敬意を表したもので、彫刻家のエマニュエル・スティファノが手掛けた。 しかし、ベールを脱いでお披露目された女性像がまとっていたのは、肌があらわになった透け透けのドレスで、女性の政治家たちから非難の声が上がっていると、英紙「ガーディアン」が報じている。 La statua appena inaugurata a #Sapri e dedicata alla #Spigolatrice è un’offesa alle donne e alla storia che dovrebbe celebrare. Ma c
菅首相の退陣表明を受けて、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が社説を掲載。いわく、自民党は各派閥の「妥協の産物」ではなく、「党内に敵はいても国民に共感できる」リーダーを選ぶべきだと提言する。 最大の問題はコミュニケーション能力の欠如 日本は昔に戻ったような感じがする。菅義偉が在任わずか1年で首相の座を退く決断をしたことで、前任の安倍晋三が8年近く政権を維持したよりも前の時代、6年間で首相が6回も入れ替わった時代が思い出されるのだ。 自民党議員の多くは、総裁選出馬を断念した菅の決断をひそかに喜んでいる。菅の支持率は下落し、自民党は地方選挙で結果を残せていない。衆議院選挙が迫るなか、彼の党、そして彼の国は、異なるタイプの指導者を必要としているのだ。 新首相は困難な課題に直面するだろう。新型コロナウイルスのパンデミックは終息から程遠いところにある。日本ではいまだ1日当たり約2万人の新規感染者が確認
1959年から1984年の間に日朝両国が共同で行った帰国事業で、約9万4000人の在日コリアンが北朝鮮に渡った。だが、「地上の楽園」と標榜されていた同国で移住者を待っていたのは、貧困や差別、強制収容への恐怖だった。いまは脱北して韓国に暮らす移住者が、当時の悲惨な状況を米紙「ニューヨーク・タイムズ」に語った。 地上の楽園は「地獄」だった 1960年8月のある晴れた朝、誰かが「祖国が見えたぞ!」と叫ぶ声が聞こえた。日本から2日かけて海を渡ってきた数百人の乗客が、いっせいに船のデッキに駆け寄る。 船は北朝鮮の港湾都市・清津(チョンジン)に到着した。港では群衆が造花を振り、歓迎の歌をうたっていた。だが、イ・テギョンは事前に聞いていた「北朝鮮は天国」という評判に強い違和感を覚えた。当時のことをイは次のように振り返る。 「港に集まっていた北朝鮮の人々は、みんな無表情でした。私は当時まだ8歳でしたが、間
「東京五輪中止」スクープ記事やコラムなどで注目されている英「タイムズ」紙東京支局長のリチャード・ロイド・パリーが、大好きな花見の季節にどうしても言いたいことがあるという──。 パンデミック対策の心苦しい仕事のひとつが、なぜ人を死なさなければならないかを決めることだ。権力を持つ人は誰もそれを認めたがらないが、これは避けて通れないことでもある。 人が大勢で集まることになれば、たとえどんなに厳しい予防措置をとっても、感染リスクを完全に取り除くことは無理だ。感染者の一部はやがて発症者となり、発症者の一部はやがて重症者になり、その重症者のなかから死亡する人が出ることになる。 死者をひとりも出さないつもりなら、私たち全員が例外なく、完全に引きこもるしかない。感染症がどこかへ消えるまで、仕事にも買い物にも出かけず、社交もしないのだ。 もちろん、それは不可能な話だ。そんなことをすれば即座にうつ状態になる人
Photo by © Hulton-Deutsch Collection/CORBIS/Corbis via Getty Images アメリカは大恐慌時代、その時ソ連は… 「当時のソ連では、本当に黒人への人種差別がなかったのか」 米ラジオ「This American Life」の編集主幹を務めるエマニュエル・ベリーは、1930年代のソビエト連邦のミュージカル映画『サーカス』を観たのをきっかけに、この疑問が生まれたと語っている。 映画『サーカス』では、黒人の子どもを産んだことで非難された、アメリカ人サーカス団員の白人ヒロインが、ソ連へと渡りモスクワ・サーカスに居場所を見つける様子が描かれている。作中でのソ連の人々は、黒人の子を「可愛い子」と愛で、産んだ彼女に対しても差別をしていない。 同作は、1920-30年代にソ連で多数製作された「プロパガンダを目的として作られた映画」のひとつだと言われ
米国で話題を集めている小説がある。タイトルは『pachinko』、そう、日本でお馴染みのあのパチンコである。 著者は米国在住の韓国系アメリカ人、イ・ミンジン氏。第二次世界大戦の前から1980年代にかけての日本を舞台に四世代の韓国系の家族を描いている。なぜか日本では取り上げられないこの小説の著者イ氏に米国「ニューヨーク・タイムズ」紙が日本の新大久保でインタビューした。 日本のなかでも雑多な雰囲気で、多言語の飛び交う街として知られる東京・新大久保。 韓国系の人々が多く住むこの街には、近年さまざまな国から移住者がやってくる。韓国系の肉料理店だけでなく、ハラール・フード(イスラム法で許された食材)を扱う料理店など、アジア諸外国の店舗が軒を連ねる新大久保は、民族・文化的に均質とされる日本では異質の街なみを形成している。 そんな新大久保は、小説家Min Jin Lee(イ・ミンジン)氏と会うのにぴった
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く