ミッチ・カリンの原作はずいぶん前に読んでいたのだけど、その断片的な心情描写と、テキサスのイメージをガラッと変えてしまうような淡々とした詩情に「寓話だなあ」と一人納得し、自分の中で物語を完結させてしまっていた。 特に苦手な作風というわけでもないし、むしろ、日本では「ダーク・ファンタジー」と大雑把にまとめられているこの手のグロテスクな寓意が施された作品は大好物だ。古くは『禁じられた遊び』から、ヤン・シュヴァンクマイエルの『アリス』、そして最近のだと『パンズ・ラビリンス』等々……。 GOTH/死や暗黒の概念を体現したような少女が、それぞれの異世界……或いはフィルタリングされた実世界に遊ぶ、というプロットには教訓があるようで実は無く、「ダーク・ファンタジー」と称せられる作品はたいがいが暗喩と比喩で出来上がっている。逆に暗喩と比喩が服を着て歩いているようなファンタジーも存在し、テリー・ギリアム作