2024年1月28日は後年、マルコス・ドゥテルテ戦争の幕が切って落とされた夜と記憶されるだろう。2年前、二人三脚でフィリピン正副大統領選挙を制したフェルディナンド・マルコス・ジュニア(通称ボンボン)氏とサラ・ドゥテルテ氏の蜜月が終わり、「ワンチーム」の瓦解が誰の目にも明らかになったからだ。 ボンボン氏は、20年にわたり独裁体制を敷いた元大統領の長男。サラ氏は暴言と剛腕で名を馳せたロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の長女。2028年の次期大統領選の最有力候補であるサラ氏が政権ナンバー2の座を辞すと示唆したのに続き、弟のダバオ市長がボンボン氏に公然と辞任を要求した。父の前大統領も参戦し、家族や支持者を巻き込む抗争に発展している。いったい何が起きているのか。 両陣営が集会を同時開催 1月28日夜、ボンボン陣営はマニラ市で「新フィリピン運動」の開始式典を開いた。父のフェルディナンド・マルコス(シニア)大