教室の黒板が「キ~」という音を立てる。思い出しただけで背筋が疼き、鳥肌が立つが、いったいなぜみんなが同じ反応をするのか。じつは、これは、進化の歴史の古い時期から、人間にすり込まれた反応だという興味深い説がある。作家で五感生活研究所の山下柚実氏が解説する。* * * あなたには、許せない音がありますか? 「黒板を爪でキ~ 不快の原因 敏感な周波数」 (読売新聞2011年11月6日)。そんな見出しの記事が目を惹きました。オーストリア・ウィーン大学などの研究者たちが、爪やチョークで黒板をひっかく音を録音して、被験者に繰り返し聞かせ、不快さの程度を判定してもらったそうです。すると、「最も強い不快感を呼びおこすのは、2000~4000ヘルツの周波数帯であることが分かった」。黒板を爪でひっかく音などが集中する帯域について、「人間の耳の穴はこの帯域を増幅する構造になっているため、特に耳障りに感じるらしい