●古書買取に思う Y君の話(4) ・神田神保町の古書店の提案を受ける 出張買取をうたいながら実際にはいろいろな条件をつけてなかなか実行にいたらない古書店が目立つ中で、即座に快諾したところがあった。それは東京神田の神保町の大川書房という古書店である。Y君が電話をかけて蔵書整理の話をもちかけると、中田さんと名乗る店長がたちまち日程を提案した。6月6日に出かけて段ボール箱の中味を見ておおよその見当をつけ、11日に再度訪ねて買取を実行するという段取りでいいですかという明快な提案を受けて、Y君は一も二もなく同意した。神保町から信州の山奥まで相当の距離があるけれども大丈夫ですかと問うY君に対し、中田店長は、別にたいしたことはありません、もうかる話ならどこにでも行きます、この間は長崎まで行きました、まあ遊び半分でしたけどと、どこまでもかろやかに応じるのであった。 もとよりY君は蔵書のすべてを売り払うつも