ブルデューはアルジェリア戦争(1954年~62年)での従軍経験をきっかけに哲学から社会学に転向し、社会学者としての研究をスタートさせました。ブルデュー社会学の原点について、社会学者で立命館大学大学院教授の岸 政彦(きし・まさひこ)さんに教えていただきました。 * * * ロマンや幻想に逃げず、まずは実態を知ろう。これがブルデュー社会学の原点です。では、社会問題を調査・研究するにあたり、どのようなアプローチがあり得るか。大雑把に言って、社会学には大きく二つの視点があります。 ひとつは、全体的な現象を見るという視点です。たとえば少子化問題について研究するのであれば、家族という制度が歴史的にどう変わってきたのか、結婚している人のうち子どもがいる割合はどのように増減してきたのかなどを調査・研究します。制度や現象、構造そのものについてのデータを集め、分析するやり方です。多くの人々にアンケートを取った