2012年のデビュー以来、「東京じゃない場所に住む、普通の女性たち」のリアルを描いてきた作家・山内マリコ。最新刊『選んだ孤独はよい孤独』は、主人公を男性たちに切り替え、この社会の息苦しさと希望を巧みに切り取る短編集だ。 デビュー作『ここは退屈迎えに来て』の映画版公開も10月に控える中、山内氏とライター・編集者の速水健朗氏が対談。後編は、山内作品の最重要モチーフであり、近年しばしば話題にもなっている「東京と地方」について語る。 (撮影:丸山剛史) ---------- ---------- 速水:ところで、山内さんが地方や郊外を継続的にテーマに据えるようになった理由というか、根本的な動機はどのへんにあるんですか? 山内:2007年に賞をいただいた頃は、とにかく女の子同士の友情を書きたいってだけでした。男同士の友情に比べて、女性の友情が低く見られていることを是正したい一心で。まあ、自分の話です