川崎市多摩区の殺傷事件を受け、引きこもりの家族を持つ人たちから支援団体に電話相談が相次いでいる。 「うちの子も何か起こしてしまうのではと心配で……」。NPO法人「ニュースタート事務局」(千葉)には、引きこもりの子供がいる親からの相談が増えている。同団体には、約5年前から中高年の引きこもりに関する相談が目立つようになったという。 「就職氷河期に就職がうまくいかず、家から出られなくなった子供の親が高齢化し、子供の将来に不安を感じて相談している。また、中高年の引きこもりが社会問題化し、相談しやすい環境にもなったことも影響している」。同団体は相談増加の背景をそう分析する。 内閣府の2018年調査では、40~64歳の中高年の引きこもりは全国で推計61万3000人に上る。同団体は引きこもりの人を寮に受け入れており、二神能基(ふたがみのうき)理事(76)は、「引きこもりの人にとって第一歩は家を出ること。