【1】パンデミック下の書店 多用な価値観、異なる意見、矛盾する見解をぶつけながら共生するアリーナ 小笠原博毅 神戸大学大学院国際文化学研究科教授 福嶋聡さま 新型コロナ・ウイルスによる肺炎の流行で、大学の教室を閉めてオンライン授業が推奨され、書店は休店や時短営業を余儀なくされています。書店のあり方をずっと模索されてきたジュンク堂難波店の福嶋聡店長は、いまどんなことを考えていらっしゃるんだろう。教室を使えない大学教師の問いかけから、この往復書簡を始めたいと思います。 まだ福嶋さんがジュンク堂池袋店の副店長をされていたころでしたね、初めてお目にかかったのは。僕が日本に帰国して最初に作った『サッカーの詩学と政治学』(共編著、人文書院、2005年)を出版した後に、共編著者の有元健さんと刊行記念の書店トークをさせていただいたのが最初でした。 本屋という場所に期待される意味と機能は その後福嶋さんが堂