MLA連携-アート・ドキュメンテーションからのアプローチ(1) 1. 「災後」を生きる:前言 本稿を書き進めている2011年4月、余震が間断なく続き、さらに福島原発のことを思えば、震災後ではなく、いまだ震災中であろう。 3.11以来、風景が変わってしまった。被災地はもとより非被災地も日本のいずれの地も風景とその見え方が変わった。ミュージアム、ライブラリ、アーカイブ(MLA)という、歴史の時間の堆積において機能するものが、この震災を機にその働きを問い直されていると思う。 Museum Career Development Network(MCDN)は2011年4月16日、公開講座「被災ミュージアムの支援と危機管理対策」(2)を開いた。文化庁文化財部美術学芸課長の栗原祐司は、被災地にある文化財の救出と保全を目的とする文化財レスキュー事業に関する報告において、救済するものの範囲を家の記録としての