福岡地裁小倉支部で行われた裁判員裁判で、殺人未遂罪に問われた特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)系組幹部の知人が、審理を終えた複数の裁判員に「(被告を)よろしく」などと声を掛けたことが判明し、同支部が判決期日を取り消していたことが29日、複数の関係者への取材で分かった。裁判員法は、裁判員に対する請託(依頼)や威迫(脅迫)を禁じている。2009年5月に裁判員制度が始まって以来、裁判員への声掛けによる判決期日の取り消しは前例がない。 この裁判員裁判では、男性を日本刀で突き刺したとして、同会系組幹部(40)が殺人未遂罪に問われている。今月10日に審理が始まり、12日に結審。16日に判決を言い渡す予定だった。 複数の関係者によると、審理を終えて同支部を出ようとした複数の裁判員に対し、被告の知人とみられる男が「よろしく」という趣旨の言葉を掛けたという。男は裁判員を待ち伏せしていた可能性もある。