新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府は「要請」の名の下に日常生活や企業活動に関わるさまざまな自粛を国民に促している。本来は法的根拠のない「お願い」にすぎないが、自治体が全国ほぼ横並びで一斉休校に応じるなど、政府の「要請」は強制措置と同様の効力を発揮する。しかも過剰自粛で社会的影響が生じれば、政府は「強制はしていない」と逃げられる。都合のいい「要請」は根拠も責任も曖昧なまま、長期化の様相を帯びる。 「政府の要請がきっかけでイベントに批判的なムードが広がっている。主催者だけに判断を委ねられるのはつらい」。福岡市内で劇場を運営し地域イベントにも携わる石川鉄也さん(51)はこう漏らした。 安倍晋三首相は20日、大規模イベントの開催について引き続き主催者に慎重な判断を求めた。中止勧告ではなく、あくまでも自主的な見送りを促す手法。石川さんは「どういう状況なら開催してもいいのか、客観的基準を示し