日本熊森協会県支部は、熊などの大型野生動物が生息できる森の保全・復元に取り組む自然保護団体だ。26日、熊の餌になる百数十キロのトチの実やドングリを抱えて沼田市佐山町の山へ入るメンバーの活動に同行取材した。 森を歩きながら、支部長の川嵜實さんが、森と熊の関わりについて教えてくれた。日に数十キロの木の実を食べる熊が広範囲でフンをし、それに交じっていた種が芽を出し、新たな森が生まれるという。 だが近年は森が荒れ、両者の関係も徐々に変わり始めた。酸性雨の影響で木が弱って木の実などが十分に実らず、その結果、動物がエサを求め山を下りてきているという。私が入った山のアカマツも、頂がはげるなどの異変が目についた。「エサをまくのは本当は苦肉の策。森が豊かになり熊が山で餌を見つけられれば人里に下りることもなくなるのに」と川嵜さんはため息を漏らす。 水を作り酸素を生み出す森は、人が生きる基盤だろう。熊が生きる森