第4章 オブジェクト指向の評価と見積り この章では,まず最初に,オブジェクト指向で開発されたソフトウェアの評価法[1][2][3]について言及し,それと前章で述べた分析設計法とを鑑みて,予測や費用などの見積りの方法について考察する。 4.1 オブジェクト指向の技量 さて,オブジェクト指向の技量は何によって見極められるだろうか。どんなプログラムがオブジェクト指向らしいであろうか。おそらく以下の二点で見極めることが可能である。 (1) 抽象クラスの数 (2) ポリモルフィズムの量 (1)の抽象クラスとは,インヘリタンスのところで解説したように,上位に位置するクラスであり,インスタンスを生成せず,サブクラス(具象クラス)群の共通な機能や属性をまとめているものである。問題領域にあまりにも特化した具象クラスは資産ではないという考えに基づいている。 抽象クラスを作成する努力をせず,具象クラスばかりを作