東京電力福島第一原子力発電所の事故直後、米政府が、東京在住の米国人9万人全員を避難させる案を検討していたことが分かった。 元米国務省日本部長のケビン・メア氏が、19日に出版する「決断できない日本」(文春新書)で明らかにした。 メア氏は震災直後、国務省内の特別作業班で日本側との調整にあたり、著書にその内幕をつづった。 米国人の避難が提起されたのは、3月16日未明(現地時間)の会議だった。米側は無人偵察機グローバルホークの情報から原子炉の温度が異常に高いことを把握し、「燃料が既に溶融している」と判断。菅政権が対応を東電任せにしているとみて、「不信感は強烈」な状況だったという。米国人の避難を求めた政府高官に対し、メア氏らは「日米同盟が大きく揺らぐ事態になる」と反論し、実行に移さなかったとしている。