はじめに 矢倉左美濃急戦(以下、左美濃急戦)の台頭は棋界に大きな影響をもたらした。 2016年に集中的に指され、後手(左美濃側)が高勝率をマークし注目される。 先手(矢倉側)が盛り返していた時期もあったが、徐々に後手の指し方が洗練されていき左美濃側が勝つケースが増えていった。 そして5手目▲6六歩からの矢倉を目指す将棋が激減し、5手目▲7七銀の時代へと移ろうとしている。 序盤のオープニングをも変えてしまったこの戦法を、気鋭の若手棋士である斎藤慎太郎七段が常識破りの新戦法 矢倉左美濃急戦 基本編 (マイナビ将棋BOOKS)と規格外の新戦法 矢倉左美濃急戦 最新編 (マイナビ将棋BOOKS)の2冊として上梓した。 今回の記事はその2冊のレビュー記事となる。 本に書かれている具体的な手順は極力紹介しないが、この戦法の変遷が伝わるように書いていければと思う。 でははじめていきたい。 はじめに 基本