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ブックマーク / blog.livedoor.jp/yamasitayu (65)

  • 佐藤卓己『流言のメディア史』(岩波新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    4月18 佐藤卓己『流言のメディア史』(岩波新書) 7点 カテゴリ:社会7点 2016年のアメリカ大統領選挙をきっかけに「フェイク・ニュース」という言葉が広まりましたが、このフェイク・ニュースは必ずしもインターネットやSNSとともに誕生したものではありません。 マーク・トウェインは「真実がの紐を結ばぬうちに、虚偽のニュースは世界を一周していしまふ」(6p)との言葉を残しているそうですが、マーク・トウェインが亡くなったのは1910年、つまり20世紀初めにはフェイク・ニュースは世界にばらまかれていたのです。 このはそんなメディアと流言の関係を20世紀前半からたどったになります。著者は『言論統制』(中公新書)や『八月十五日の神話』(ちくま新書)、『ファシスト的公共性』などで知られる佐藤卓己で、2013~15年年にかけて『季刊 考える人』に連載されたものが元になっています。つまり、フェイクニ

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    u_wot_m8 2019/04/19
  • 小笠原弘幸『オスマン帝国』(中公新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    1月31 小笠原弘幸『オスマン帝国』(中公新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 オスマン帝国はアナトリアを中心に中東、バルカン半島に大きく勢力を広げた王朝です。オスマン帝国についてはその版図の広がりに目を奪われますが、それ以上に驚かされるのが13世紀末に登場し、1922年まで600年以上も存続したという息の長さです。 もちろん、長く続いているということであれば日の天皇家はそれ以上ですが、一つの家系がそれなりに権力を保持しつつ、しかも、一般的にカリスマ的指導者を失うとあっという間に崩壊してしまいことが多い遊牧民族系の王朝の中でこの存続期間は驚異的です。 このはそんなオスマン帝国の歴史を誕生から滅亡まで描いたになります。比較的オーソドックスな構成ながら、オスマン帝国の支配構造の変遷がわかるようになっており、世界史の中におけるオスマン帝国の特殊性と、現在のトルコに与えている影響といったも

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    u_wot_m8 2019/02/01
  • 小田中直樹『フランス現代史』(岩波新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    1月20 小田中直樹『フランス現代史』(岩波新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 フランスの戦後史を10年ごとに区切りながら、そこで起こった出来事と、対立の構造の変容を描き出した。著者はもともとフランスの近代の社会経済史を研究していた人物で、読む前は社会経済史によった内容を想像していましたが、思ったよりも政治経済よりで、政治が経済に及ぼした影響、経済が政治の対立軸を変えていく様子が「分裂と統合の弁証法」というキーワードのもと、詳細に書かれています。 また、各年代をほぼ25ページ前後で均等にまとめている点も、特徴と言えるでしょう(例えば、1968年に大きなページが割かれたりはしていない)。それでいて、平板な印象を与えないのは著者の筆力のなせる業と言えるのかもしれません。 目次は以下の通り。 序 章 分裂と統合の弁証法 第一章 解放と復興―― 一九四〇年代 第二章 統合欧州の盟主をめざして

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    u_wot_m8 2019/01/21
    ©金子みすゞ
  • 井手英策『幸福の増税論』(岩波新書) 6点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月2 井手英策『幸福の増税論』(岩波新書) 6点 カテゴリ:政治・経済6点 「幸福の増税論」とは、「税務署がやっている書道作品のキャンペーン(「正しい納税」とか書かせるやつ)でも、さすがにここまでは言わないぞ」というなかなかインパクトのあるタイトルですが、「自己責任社会」から「助け合う社会」への転換を増税によって成し遂げようとする構想を語ったになります。 増税を語るというと、「日の借金は世界一」、「国民一人あたりの借金は~」、「高齢化で社会保障制度が破綻する!」といった形で危機を煽るがほとんどですが、著者はそういったロジックを使わずに、あるべき社会の実現のために増税を説いています。 著者は民進党のブレーンとして政治にも関わり、その後あっさりと民進党が消滅してしまうという悲劇も経験しているのですが、それでもこうしたを書いて変革を訴えており、その信念や誠実さといったものは疑い得な

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    u_wot_m8 2018/12/02
  • 桃崎有一郎『武士の起源を解きあかす』(ちくま新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    11月25 桃崎有一郎『武士の起源を解きあかす』(ちくま新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 タイトルの通り、武士の起源を解き明かそうとした。 ご存知の通り、10世紀ごろに地方で力を持つようになった武士は、やがて日を支配する存在になるのですが、そもそも武士がどこからどう生まれてきたかということについて実ははっきりとした定説がありません。 現在、高校でもっとも広く使われている山川出版の日史Bの教科書『詳説 日史 改訂版』(2018年発行のもの)でも武士の起源に関しては、次の2つの記述があります。 9世紀末から10世紀にかけて地方政治が大きく変化していく中で、土着した国司の子孫や地方豪族は、勢力を維持・拡大するために武装するようになり、各地で紛争が発生した。その鎮圧のために政府から押領使・追捕使に任じられた中・下級貴族の中には、そのまま在庁官人などになって現地に残り、有力な武士(兵)

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    u_wot_m8 2018/11/26
  • 梶谷懐『中国経済講義』(中公新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    10月14 梶谷懐『中国経済講義』(中公新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 中国のマクロ経済が専門ながら、『「壁と卵」の現代中国論』や『日中国、「脱近代」の誘惑』で経済を軸に思想や社会問題を含めた形で中国と日を論じ、『日中国経済』(ちくま新書)で日中の経済交流と中国の現代経済史を分析した著者が、現在の中国経済が直面している重要な課題を論じたもの。 経済学の概念を使ってかなり格的に論じているために、前半の章を中心にやや難しく感じる部分もあるかもしれませんが、格的に論じているからこそ、いまこの瞬間の問題点だけではなく、中長期的な問題というのも見えるようになっていて非常に読み応えがあります。中国経済に対して、ある程度の見通しをもっておきたいという人には必読のといえるでしょう(ただ、序章〜第2章はテクニカルな部分も含むので、経済学の概念に慣れていない人は第3章から読んでもいいか

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    u_wot_m8 2018/10/15
  • 西山隆行『アメリカ政治講義』(ちくま新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    6月23 西山隆行『アメリカ政治講義』(ちくま新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 一昨年に出た『移民大国アメリカ』(ちくま新書)が非常に面白かった著者によるアメリカ政治全般の解説書。 このような概説書的なはどうしても制度の説明+αとなりがちで、なかなか読んでいて面白いという形にはなりにくいのですが、このは違います。 アメリカ政治のニュースに接していて感じる疑問、例えば、「民主主義がさかんな国なのになぜ投票率が低いのか?」、「「小さな政府」にもかかわらず常に減税が主張されるのはなぜか?」、「銃規制が進まないのはなぜか?」などに沿う形で、うまくアメリカ政治制度の説明を織り込んでいます。 「はじめに」や「あとがき」によると政治学を専攻するゼミの学生に疑問や感想などを出してもらい、それをもとにして書を書いたとのことですが、それがうまくはまっていると言えるでしょう。 アメリカ政治にそれ

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    u_wot_m8 2018/06/24
  • 野口旭『アベノミクスが変えた日本経済』(ちくま新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    4月28 野口旭『アベノミクスが変えた日経済』(ちくま新書) 7点 カテゴリ:政治・経済 雇用の改善や株価の上昇をもたらしながら、物価目標が未達成となっているアベノミクス。安倍政権をめぐる党派的な対立が激しいこともあって、その評価は大きく割れているのが現状です。 著者はいわゆる「リフレ派」の一人とされる人物で、アベノミクスを評価する立場の人ですが、「日経済が縮小均衡に陥った責任の大部分は、明らかに民主党よりも自民党にあるといえる」(22p)と述べるなど、全体的に党派性をあまり感じさせない理論的な筆致で書かれています。 目次は以下の通り。 第1章 アベノミクスとは何だったのか 第2章 世界大不況とアベノミクス 第3章 異次元金融緩和政策の真実 第4章 雇用政策としてのアベノミクス 第5章 経済政策における緊縮と反繁縮 バブル崩壊以後、日は「失われた20年」ともいわれる経済の低迷に苦しみ

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    u_wot_m8 2018/04/29
  • 吉田裕『日本軍兵士』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    1月28 吉田裕『日軍兵士』(中公新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 副題は「アジア・太平洋戦争の現実」。長年、近現代の軍事史・政治史を中心に研究してきた著者が、日軍兵士の実際の姿に焦点をあて、アジア・太平洋戦争の現実を浮き彫りにしようとしたになります。 『日軍と日兵』(講談社現代新書)、『皇軍兵士の日常生活』(講談社現代新書)の一ノ瀬俊也の仕事と少しかぶる面もありますが、一ノ瀬俊也の両著作がミクロ的な部分にこだわって書かれているのに対して、こちらはミクロ的な部分をマクロ的な分析につなげていこうとする姿勢が強いです。 戦場における歯科医、兵士の体格や服装の劣化、戦場における知的障害者など、あまり注意が向けられてこなかった部分にも光が当てられており、今まで知られていなかった戦場の「現実」が見えてきます。 目次は以下の通り。 序章 アジア・太平洋戦争の長期化 第1章 死にゆく兵士

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    u_wot_m8 2018/01/29
  • 山本芳久『トマス・アクィナス』(岩波新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    1月22 山芳久『トマス・アクィナス』(岩波新書) 7点 カテゴリ:思想・心理7点 トマス・アクィナスというと「スコラ哲学の大成者」として多くの人は名前を知っているが、実際に読んだことのある人はほとんどいないという哲学者だと思います。 こののはじめに「カトリック教会の伝統的な教えを正当化するために数多くの体系的な著作を残した権威主義的な神学者」(2p)という世間一般の人が抱くトマス・アクィナスのイメージが紹介されていますが、自分も以前はそんな印象を抱いていました。 そんなトマス・アクィナスのイメージを打破し、トマスの思想がある種のチャレンジであり、今なおアクチュアルであることを示そうとしたのがこの。 少し前に同じ岩波新書から出た出村和彦『アウグスティヌス』は、その生涯と思想のポイントをまとめたものでしたが、書はトマスの生涯についてはほんとうに簡単に触れるだけで、紙幅のほとんどを『神

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    u_wot_m8 2018/01/23
  • 山崎史郎『人口減少と社会保障』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    10月17 山崎史郎『人口減少と社会保障』(中公新書) 8点 カテゴリ:社会8点 「今後、人口減少が予想される中で日の社会保障制度はどうあるべきなのか?」という問題を、元厚生労働省の官僚であり、介護保険の創設に尽力し「ミスター介護保険」と呼ばれた人物が探った。 web中公新書の著者インタビューのページで、著者は自らのキャリアを次のように語っています。 1978年に旧厚生省に入省し、38年間政府の仕事に携わった後、昨年6月に退官しました。 その間、主な仕事として、1990年代半ばから厚生省で介護保険制度の導入、内閣府や内閣官房でリーマンショック前後の経済雇用対策などを担当しました。そして、2011年に厚生労働省社会・援護局長として、生活困窮者支援の素案づくりに携わりました。その後、内閣府の少子化対策担当などを経て、2015年から内閣官房まち・ひと・しごと創生部の地方創生総括官を務めまし

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    u_wot_m8 2017/10/18
  • 大竹文雄『競争社会の歩き方』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    9月11 大竹文雄『競争社会の歩き方』(中公新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 『経済学的思考のセンス』、『競争と公平感』(いずれも中公新書)などの著作でおなじみというよりも、最近はEテレの「オイコノミア」でおなじみといったほうがよい大竹文雄による経済学的な読み物。 先にあげた2冊と同じく社会問題などを経済学の切り口で分析しながら、最新の行動経済学の知見などを紹介しています。 「オイコノミア」を見ている人は、他の経済学者の先生に比べて大竹先生はネタが豊富だと感じているかもしれませんが、それは書でも遺憾なく発揮されています。「オイコノミア」でコンビを組んでいる又吉直樹の『花火』や西加奈子『サラバ!』の書評や司馬遼太郎についての講演なども組み込まれており、タイトルにもある「競争」とキーワードを中心にしてさまざまなネタが楽しめると思います。 目次は以下の通り。 プロローグ 競争で強みを見つ

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    u_wot_m8 2017/09/12
  • 吉原祥子『人口減少社会の土地問題』(中公新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    8月15 吉原祥子『人口減少社会の土地問題』(中公新書) 7点 カテゴリ:社会7点 東日大震災における用地確保の際や、都市部の空き家問題などで注目されるようになった土地の「所有者不明化」問題。国土交通省が行ったサンプル調査によれば全国の私有地の約2割がすでに所有者の把握が難しい状態だといいます(iv p)。 この問題に関して、「実態はどうなっているのか?」、「なぜこのような状況が生まれてしまったのか?」ということをできるだけ包括的に論じようとしたのがこの。 200ページ弱ので、なにかこの問題に対する特効薬が打ち出されているわけではないですが、今まで散発的に論じられていた問題が、自治体へのアンケートなどをもとに専門家によってまとめられており、問題に取り組むための出発点となるとなっています。 目次は以下の通り。 第1章 「誰の土地かわからない」―なぜいま土地問題なのか 第2章 日全土

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    u_wot_m8 2017/08/17
  • 飯田泰之『マクロ経済学の核心』(光文社新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    7月5 飯田泰之『マクロ経済学の核心』(光文社新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 『飯田のミクロ』(光文社新書)の姉妹編とも言うべきが、『飯田のミクロ』から5年経って登場。ずいぶんと待たされましたが、著者の専攻がマクロ経済学ということもあって『飯田のミクロ』よりもわかりやすく興味深い内容に仕上がっていると思います。 ただ、先日紹介した坂井豊貴『ミクロ経済学入門の入門』(岩波新書)が、経済学をまったく知らない人にも読めるようになっていたのに比べると、こちらは高校の政治経済レベルの知識をマスターした人、あるいはもうちょっと進んで初学者向けの経済学のテキストなどを読んだ人向けのレベルになります。 数式もけっこう出てきますし、経済学の知識がまったくない人が読み通すにはちょっとつらいかもしれません。 目次は以下の通り。 第1章 マクロ経済を見る「目」 第2章 長期経済理論としての新古典派成長

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    u_wot_m8 2017/07/06
  • 坂井豊貴『ミクロ経済学入門の入門』(岩波新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    6月4 坂井豊貴『ミクロ経済学入門の入門』(岩波新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 タイトルは「ミクロ経済学入門」ではなく「ミクロ経済学入門の入門」。そのタイトル通り、「ミクロ経済学の世界に分け入っていく」というよりは「ミクロ経済学にはどんなアイディアあって、それは何に使えるのか?」ということを読者に見せるような内容になっています。 数式はほとんどなく、くだけた文体とグラフを多用する視覚的な説明を行い、文150ページ未満のコンパクトな量。こういうと中学や高校で習う需要と供給のグラフに毛の生えた程度のものを想像する人もいるかもしれませんが、そこはマーケットデザインなどの研究をしている著者だけあって、随所にゲーム理論が埋め込まれるかたちで説明がなされており、ミクロ経済学についてそれなりの知識のある人にも新たな捉え方をもたらすような内容になっています。 また、150ページほどという量の部分

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    u_wot_m8 2017/06/04
  • 前田正子『保育園問題』(中公新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    5月31 前田正子『保育園問題』(中公新書) 7点 カテゴリ:社会7点 中公新書らしく現在の保育園問題の現状について手堅くまとめた。何か斬新な解決法が提案されているわけではありませんが、今の保育園を取り巻く問題が網羅的に分かるようなに仕上がっています。 著者は学者であると同時に横浜市の副市長として待機児童問題の解決にも取り組んだ経験があり、現実的な処方箋が模索されると同時に、現在の制度の改善点なども浮かび上がるような内容です。 目次は以下の通り。 序章 保活に翻弄される親たち 第1章 日の保育制度をつかむ 第2章 待機児童はなぜ解消されないのか 第3章 なぜ保育士が足りないのか―給与だけが問題ではない 第4章 「量」も「質」ものジレンマ 第5章 大人が変われば、子育てが変わる 序章では都心部での保育所探しの大変さが東京都杉並区の例を通して語られています。 妊娠中から始める保育所探し、

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    u_wot_m8 2017/06/01
  • 深井智朗『プロテスタンティズム』(中公新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    4月24 深井智朗『プロテスタンティズム』(中公新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 1517年、ルターがヴィッテンベルク城の教会に「九五か条の提題」を貼り出し、宗教改革がはじまったとされています。 そんな記念すべき出来事から500周年の年に、ルターから生まれた「プロテスタンティズム」について書かれたのがこのです。 ただし、このは必ずしも宗教改革だけに焦点を当てたではありません。また、ルターやカルヴァンの思想に焦点を当てたでもありません。プロテスタンティズムがどのような政治的・社会的コンテクストの中で生まれ、そのプロテスタンティズムがどのようにその後の政治や社会に影響を与えていったのかということが、このの中心的テーマになります。 ある程度大胆にキリスト教の中にプロテスタンティズムを位置づけ、プロテスタンティズムのその後の展開と政治や社会との関係を描き出す筆致は非常に刺激的で、政

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    u_wot_m8 2017/04/25
  • 金成隆一『ルポ トランプ王国』(岩波新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    2月27 金成隆一『ルポ トランプ王国』(岩波新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 朝日新聞で注目を集めたトランプ支持者へのルポの書籍化。 「いずれは失速する」と言われ続けたトランプですが、結局は共和党の予備選を制し、さらには選でも大命のヒラリー・クリントンを破りました。この原動力となった支持者の熱気と素顔を伝えてくれるです。 日では、ニューヨークやワシントンの東海岸、あるいはロサンゼルスやシアトルなどの西海岸発の記事が多いですが、その真ん中に広がるアメリカの現在の雰囲気も教えてくれます。 著者はニューヨーク駐在の記者ですが、周囲にトランプ支持者はほとんどいなかったといいます。実際、選でのトランプの得票率はニューヨークのマンハッタンで10%、ブロンクスで9.6%、ブルックリンで17.9%、ワシントンでは4.1%(ii p)。都市部からの票はほとんどなかったのです。 一方で、トラ

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    u_wot_m8 2017/02/27
  • 富田武『シベリア抑留』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    1月10 富田武『シベリア抑留』(中公新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 同じ「シベリア抑留」というタイトルの新書は2009年に岩波新書からも出ています(栗原俊雄『シベリア抑留』)。毎日新聞の記者によるもので、主に生存者や遺族の証言、抑留者の書き残したものなどの一次資料を使いながら、抑留された人びとに寄り添うような形で書かれているでした。 一方、ソ連政治史、日ソ関係史を専攻する政治学者の書いたこちらのは、公文書などを使いながら「シベリア抑留」を総体的に捉えようとしたもので、ある意味で対称的な内容になっています。 そして、その「総体的」といった時にスケールの大きさがこのの一番の特徴です。まずは「シベリア抑留」を、スターリンが行った国内弾圧と矯正労働収容所、さらにドイツ兵の捕虜に対する扱いとの連続性で捉え、さらに南樺太や北朝鮮に抑留された人々まで扱っています。 まさにスケールの大きな

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    u_wot_m8 2017/01/11
  • 梶谷懐『日本と中国経済』(ちくま新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月26 梶谷懐『日中国経済』(ちくま新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 副題は「相互交流と衝突の100年」。著者は、中国の財政・金融といったマクロ経済の専門家ながら、今までも『「壁と卵」の現代中国論』、『日中国、「脱近代」の誘惑』といった著作で(両方とも面白いです)、中国の思想や政治文化、さらの日人の中国認識の問題などを論じてきた人物で、このでもそうした知見が十分に活かされています。 さらにこのは日中の経済交流を描くだけでなく、現代中国経済史としても読み応えのある内容になっています。同じちくま新書の岡隆司『近代中国史』(これも面白い)のつづきとも言えるかもしれません。 目次は以下の通り。 第一章 戦前の労使対立とナショナリズム 第二章 統一に向かう中国を日はどう理解したか 第三章 日中開戦と総力戦の果てに 第四章 毛沢東時代の揺れ動く日中関係 第五章 日中蜜月の

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    u_wot_m8 2016/12/27