12月2 井手英策『幸福の増税論』(岩波新書) 6点 カテゴリ:政治・経済6点 「幸福の増税論」とは、「税務署がやっている書道作品のキャンペーン(「正しい納税」とか書かせるやつ)でも、さすがにここまでは言わないぞ」というなかなかインパクトのあるタイトルですが、「自己責任社会」から「助け合う社会」への転換を増税によって成し遂げようとする構想を語った本になります。 増税を語る本というと、「日本の借金は世界一」、「国民一人あたりの借金は~」、「高齢化で社会保障制度が破綻する!」といった形で危機を煽る本がほとんどですが、著者はそういったロジックを使わずに、あるべき社会の実現のために増税を説いています。 著者は民進党のブレーンとして政治にも関わり、その後あっさりと民進党が消滅してしまうという悲劇も経験しているのですが、それでもこうした本を書いて変革を訴えており、その信念や誠実さといったものは疑い得な