4月18 佐藤卓己『流言のメディア史』(岩波新書) 7点 カテゴリ:社会7点 2016年のアメリカ大統領選挙をきっかけに「フェイク・ニュース」という言葉が広まりましたが、このフェイク・ニュースは必ずしもインターネットやSNSとともに誕生したものではありません。 マーク・トウェインは「真実が靴の紐を結ばぬうちに、虚偽のニュースは世界を一周していしまふ」(6p)との言葉を残しているそうですが、マーク・トウェインが亡くなったのは1910年、つまり20世紀初めにはフェイク・ニュースは世界にばらまかれていたのです。 この本はそんなメディアと流言の関係を20世紀前半からたどった本になります。著者は『言論統制』(中公新書)や『八月十五日の神話』(ちくま新書)、『ファシスト的公共性』などで知られる佐藤卓己で、2013~15年年にかけて『季刊 考える人』に連載されたものが元になっています。つまり、フェイクニ