4月26 小泉悠『オホーツク核要塞』(朝日新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 世の中には知っておいたほうが良い知識と、知らなくてもおそらく大きな問題はない知識があると思いますが、本書が扱っているのは後者だと思います。 もちろん、日本の安全保障を考える上でSLBMを搭載したロシアの原子力潜水艦の存在は外せないことではありますが、一般の人にとって本書に書かれているほどの知識は必要ないでしょう。 ただ、それにもかかわらず本書は面白いです。 これは著者のオタク的な知識とわかりやすい語り口のなせる技だと思いますが、海の中で繰り広げ荒れていた米ソの軍拡競争、ソ連崩壊後のロシア海軍の凋落、凋落後の核戦略の練り直し、そしてウクライナ戦争が極東の海に与える影響など、非常に面白く読めます。 テーマ的には新書で出すようなものではないかもしれませんが、それが1冊の面白い新書に仕上がっています。 目次は以下の通