(英エコノミスト誌 2009年5月9日号) インフレは悪いが、デフレはもっと悪い。 カントリーウエスタンの調べに乗せ、甘い声で風刺メッセージを歌う異色のシンガー、マール・ハザード氏は、金融政策を巡る混乱を誰よりも的確に描写している。 「インフレかデフレか?」と同氏は歌い上げる。「分かっているなら教えてほしい。我々はジンバブエになるのか、それとも日本になるのか?」 一体どうしたら、1930年代以来最悪となる米国の景気後退によるデフレ圧力と、金利を事実上ゼロまで引き下げ、バランスシートを急激に膨らませた米連邦準備理事会(FRB)の積極的な政策対応の両方から身を守れるのだろうか。 ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は5月4日、日本式のデフレが迫っていると警告した。一方、FRBの歴史の研究で名高いアラン・メルツァー氏は、1970年代に起きたインフレの再来を予想している。両氏の主