前回に続いて畑村洋太郎さんにご登場いただく。畑村さんの指摘によれば、私たちは安さと便利さを提供する制度を安全と安心の確保された社会だと思い込んできた。近年の企業の不祥事などを通じて知った本当の社会の姿に日本人は閉塞感とストレスを感じているという。 しかし、それが日本の現実である以上、見つめ、冷静に対処するほかない。安さと便利な世を謳歌できるキリギリスではいられないのだから。制度に頼らず自分の考えを構築して行動していくことこそが生きること、という畑村さんの持論について引き続きうかがった。 畑村:明治のはじめから、50年前くらいまでは、とにかく法律を整備したりして、まず国の支配構造をつくることが優先だった。でも、いまは支配構造の確保だけができていて、それがもう全体の利益につながらなくなっていてダメになっている。けれど支配構造が要らないかといったら、そんなことはない。社会に必要なのは確か。 重要