アゴラ研究所フェロー 石井孝明 (GEPR版) 1・はじめに 2030年の日本のエネルギーを国民参加で決めるとして、内閣府のエネルギー・環境会議は「エネルギー・環境に関する選択肢」で3つの選択肢を示した。(以下、単に「選択肢」「シナリオ」とする)(注1・同会議ホームページ「話そう“エネルギーの環境と未来”」) 内閣府はこの3つの選択肢の中から、将来の電源の目標を「国民的議論」によって選び、8月中にまとめることを表明している。ところがこの決定方法は問題だらけだ。 まず決め方がおかしい。エネルギー政策のように、踏まえるべき視点やデータが多すぎる問題では、大衆討議的な方法が意思決定になじむのかという本質的な疑問がある。また選択肢の作成では、経済界や電力会社への詳細なヒアリングが行われていないという。今年8月に決めることも拙速すぎる。 次に、「2030年の原発の発電割合の数値目標を定める」という問