最近はもう惰性というより紙面を監視する目的で朝日新聞の購読を続けているようなものだが、マーガレット・サッチャーの訃報記事もひどいものだった。 かつての朝日は、政治家が死去した時でも辛辣な評伝を書いた。たとえば朝日にシンパの記者が多かったという大平正芳が死んだ時(1980年)の記事がそうだった。自らがシンパシーを持っている政治家が亡くなった時であっても、批判すべきところは批判するというジャーナリズム本来のあり方が、その頃の朝日にはまだあった。 今はそうではない。今朝の朝日新聞のサッチャー死去に関する記事をざっと見て、久々に強い怒りを感じた。サッチャー礼賛に終始し、批判に対しては客観的記述でサッチャーが批判を受けた事実に触れるのみ。日経新聞でさえ電子版の訃報記事で明記した人頭税導入に関しては、国際面の「■サッチャー英元首相の歩み」と題された年譜で、87年の欄に「総選挙に勝利、第3次政権。任期終