ベートーベンからショパン、そしてリスト、ドビュッシー、プロコフィエフと辿ってきて、いきなりどうしてバッハなんだ、と思われるでしょう。 でも、この順番は決してイレギュラーではないのです。 良い音楽だけを演奏するピアニスト 生物学は、生き物は常に新しい道を模索するということを教えてくれます。 可能性が模索されつくし行き止まりにあるかのように見えても、その行き止まりと思えた地点から、生き物は必ず思いもよらなかった新しい道を探し出します。 ピアニストも一種の生き物である以上、その行き止まりと思えたところから新しい道を模索し、そして新しい道を探し出しました。 それが、「良い音楽」だけを選び出して演奏するピアニスト、「良い音楽」だけでプログラムを組むピアニストの登場です。 リストの項でも述べたように、ピアニストは演奏家であると同時に作曲家であり、彼らは基本的に自分が演奏するために音楽を書きました