中央大学教授 橋本基弘 憲法は施行から65年が経ちました。日本国憲法に基づく政治は完全に定着したように思われます。一方で、昨年の東日本大震災をきっかけとして、政治の機能不全が明らかになりました。いわゆる「決められない政治」の問題です。 しかし、「決められない政治」の原因は「ねじれ」にあるのでしょうか。参議院が強いからでしょうか。ここではこの問題を考えてみたと思います。「ねじれ」は本当に病理現象なのか、あるいは異常な事態なのでしょうか。わたくしはそうは考えません。 まず、現在の衆参両院それぞれの選挙制度を見てみましょう。 衆議院は、「小選挙区比例代表並立制」と言われる選挙制度により議員が選出されています。総議席数は480名です。そのうち300名を小選挙区制から選び、180名を11の比例区から選びます。これに対して、参議院は選挙区選出と比例代表区を組み合わせた選挙制度です。 議員総数24