多くの人間が国を語る光景を見ると三国志のマンガ『蒼天航路』の場面を思い出す。関羽がモンゴルの少年と出会い、それまで儒の思想一辺倒から脱却し、これからの中華の未来を描くなかで少年は「辺境の地に生まれた俺がこの壮大な中華の政を考えてもいいのか?」と問う。関羽は君もこの中華のひとつだと返す。少年は「あんたの魂は受け取った、俺はこの種を故郷にまく!」と天に向かい咆哮する。少年の登場は物語でたったそれっきりだが、いまでも私の脳裏に焼きついている。 一冊の書物でさえ、崇高壮大な観念を語ればステージになる。この分厚い本書の表紙をめくると、いきなり電脳たっぷりのアイドルがコスプレしておりギャップに拍子抜けするが、これから日本を背負う人間達が今の視点・新たな角度から現代日本を捉え直している。 本書は「ゲンロン新憲法草案」を提案している同誌編集長・東浩紀が、国土論と文学論、外交論など各界の著名人と対談し日本の