ドイツ初の女性首相にアンガラ・メルケルCDU(キリスト教民主同盟)党首が2005年11月に就任してまもなく3年経つ。現代世界を席巻する新自由主義(ネオリベ)思潮の元祖として一世を風靡し、「鉄の女」との異名で歴史に名を残すマーガレット・サッチャー元英首相ほど強烈なイメージはまだないが、東独出身でありながら今や西独の保守本流に確固たる地位を占めるに至った。 メルケル独政権は欧州連合(EU)を牽引しつつ、日本と同様、ブッシュ米政権が進めるグローバルな「テロとの戦い」に積極参加している。特筆すべきは、歴代独首相として対中国政策に絡め、初めて日本の安全保障問題に関与していることである。 ▼関与は対米協調の一環 ドイツ民主共和国(旧東独)の名門ライプチッヒ大学で理論物理学を研究し、博士号を取得した科学者だったメルケル氏は1989年末のベルリンの壁崩壊を機に政治家へと転身した。1990年の東西ドイツ統一