英紙「フィナンシャル・タイムズ」の記者が著名人とランチを共にしながらインタビューする名物コーナー「Lunch with the FT」に坂本龍一が登場。危機の時代が音楽業界に与える影響、真のクリエイティビティ、日本のコロナ対応、今後のキャリアについて語り尽くす。 終始穏やかな口調だった坂本が苛立ちをあらわにした記者の質問とは──。 NYのティーハウスで会うはずが… 本来なら、この文章はニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港の出発ラウンジで書かれているはずだった。足元につまらない土産が入った袋を置き、東京行きの14時間フライトの搭乗時間が迫るなか、ノートパソコンには前日に坂本龍一から放たれた電気がまだビリビリと走っているのだ。 その日は、ニューヨークのウエストビレッジにある「Té Company」に早めに到着して、テーブルを確保していたはずだ。ニューヨーカー誌がスリリングな店だと絶賛した