先週末、最終回を迎えたNHK連続テレビ小説『スカーレット』。主人公・貴美子のモデルとなったのは、女性陶芸家の草分けとして知られる神山清子さんの人生だった。陶器の里として知られる滋賀県甲賀市信楽町。神山さんがこの地に窯を作ったのは34歳のときだ。失われた「自然釉」の製法で古信楽焼を再現することに心血を注いだ神山さん。貧困や夫の裏切り、息子との死別──。彼女が語ったその半生は壮絶なものだった(構成=門倉真紀子 撮影=霜越春樹) 真冬の信楽の里に辿り着いて 見てください。この、緑色でビードロみたいに光る陶器の破片。今思うと、これがすべての始まりやったんやね。息子の賢一が「きれいや」って持ってきたこの破片がきっかけとなって、「自然釉」を再現できた。運命というか、奇跡というか。そういうものを感じてしまうね。 そもそも焼き物と何のご縁もなかった私が、信楽に住むことになったのも、不思議なもので。実は、夜