天体観測。 天地明察(上) (角川文庫) 中古本屋に安く売られていたのを購入した。「天地明察」は渋川春海が新しい暦を作り上げる江戸時代の時代小説である。碁打ちの名家に生まれた春海は自分の境遇に窮屈さを感じ、算術に活路を見いだす。碁打ちの仕事も適当にけりをつけては算術の問題に明け暮れる始末。彼の囲碁の腕前はかなりのもので、才能の無駄遣いという言葉が聞こえてきそうだ。しかし自分の才をひけらかして傲慢な態度をとることは全くなく、誰に対しても丁寧に接する。そんな姿勢は読者の僕だけではなく周りの人物も好感を持ち、彼の周囲にはデキる人間が集まる。彼が暦を改めるという大仕事を任されたのは、算術の能力もそうだが彼の真摯な姿勢によるところも大きい。 作中の算額を解いてみる この小説で特に気に入ったところは要所で挟まれる算術の問題である。これは算額と呼ばれ、絵馬や額に問題と解法を示して神社や寺に奉納したもので