有機ELフレキシブルディスプレイ実現に向けて 〜高効率化と長寿命化のカギ〜 試作品とはいえ、40インチのフラットパネルディスプレイを実現した有機EL(Electro Luminescence)。その基本的な構造は、電極の間に蛍光性有機材料を挟むだけと単純だ。注入された電子とホールの再結合により有機分子が励起され、緩和の際に放出されるエネルギーが光となって現れる。「今、有機ELの分野では、色は結構出ているんです。あとは高効率化と長寿命化ですね」と城戸氏は語る。 有機分子を電気で励起すると、電子状態はエネルギーの高い一重項と、低い三重項の2つの準位を取る。一重項からの緩和で発する光を蛍光と言い、三重項からの光をリン光と言う。従来の材料では、三重項から放出されるエネルギーは、光ではなく熱となって失われるため、常温でリン光が観察されることはない。有機EL素子において、一重項と三重項は、1:3の割合