和牛オーナー制度の運営で知られ、民事再生手続き中の「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県那須塩原市)について、東京地裁(鹿子木康裁判長)は8日、同手続きを廃止する決定を出した。 これにより同社は今後、破産手続きに移行する見通しとなった。 地裁から4日に再生管財人に選任された渡辺顕弁護士らが同社の財産状況を調査した結果、牛の餌代などで資金繰りが逼迫(ひっぱく)していることが判明。資金不足で財産保全はおろか、牛が餓死する可能性もあるとして、8日付で同手続きの廃止を求める上申書を地裁に提出していた。 財産管理にあたる保全管理人に選任された渡辺弁護士は決定後の記者会見で、「早急に牛を売却して収入を増やすとともに餌代を減らし、債権者の利益を図りたい」と述べた。「全国安愚楽牧場被害対策弁護団」の紀藤正樹弁護士は「自転車操業だったことが明白で、経営陣を厳しく追及してほしい」と訴えた。