読売日本交響楽団が所蔵する、ベートーベンの自筆譜など貴重な約2万点の音楽関連コレクション「 南葵 ( なんき ) 音楽文庫」が和歌山県に寄託されることが決まった。21日、同県などが明らかにした。 同文庫は、紀州徳川家の16代当主・徳川頼貞(1892~1954年)が、英国の音楽研究家の蔵書を私財を投じて購入するなどして集めた資料。1918年、頼貞は東京都港区に音楽図書館を設けてコレクションを収容したが、23年の関東大震災で被災し、戦後、読響に移管された。 同文庫の資料には、ヘンデルやロッシーニら著名な作曲家の自筆譜や書簡などが含まれる。ベートーベンがロシア民謡を編曲した「23の諸国の民謡」の自筆譜の一部もある。 2014年夏から読響関係者と同県が協議し、寄託に向けた準備を進めてきた。 特に貴重な楽譜や書簡は今後、同県立博物館(和歌山市)で公開し、その他の資料は同県立図書館(同市)で保管する。