システム開発において、そろそろ見直すべきと筆者が思っていることの一つに、「RFPによるコンペ」がある。これまで、ユーザー企業がシステム開発を行う際、提案依頼書(RFP)を提示し、複数のシステム会社から提案を受けて発注先を選定することが推奨されてきた。これはシステムのオープン化の初期、技術基盤や言語が多様化する中、妥当な費用を探りつつ、提案力のある発注先を選定するのに有効な手段だった。公共機関では公平性という観点から今後も主要な手段であり続けるだろうが、民間企業ではもうその歴史的役割は終わったのではないだろうか。 RFPによるコンペの最大の功績は、ユーザー企業から見ると競争原理によって開発費用の相場を大幅に引き下げたことだ。しかしその代償として、発注者と受注者の信頼関係をズタズタにし、責任を回避し合う構図を作ってしまった。受注者は、コンペで勝つために低価格を約束し、不十分な体制で無理な納期で