人類はその歴史において、さまざまな資源を分け合い、奪い合ってきた。それは、石油や天然ガスなどのエネルギーだけでなく、黒曜石・銅・錫・鉄・石炭・香辛料など、獲得競争の対象は多岐にわたる。そこに今、サイバー空間におけるIPアドレスという資源へ注目が集まりつつある。 インターネット誕生から50年、それによって実現されたサイバー空間では、このような奪い合いと無縁の世界であると考えられてきた。サイバー空間における情報は分けても減らず、分けると増えつつ共有されていく性質を持つからだ。2000年代に入り、グローバルで、オープンなはずのサイバー空間においても、資源を巡る動揺が見られる。 「データは21世紀の石油」という言葉がまことしやかに語られ、既に自国民のデータを自国の領土内に留めようとする動きが起きている。読者にサイバー空間での資源争奪戦について問題提起したい。 緊張が走ったAPNICの理事選挙 サイ