他国を武力で守る集団的自衛権の行使と地球規模で米軍などを支援する安全保障関連法案をめぐり、安倍晋三首相は「(日本が)戦争に巻き込まれることは絶対にあり得ない」と断言する。その理由の一つとして1960年の日米安全保障条約改定時の戦争巻き込まれ論を挙げ、「間違っていたことは歴史が証明している」と繰り返す。だが、当時の自衛隊活動は日本が攻撃された場合のみ反撃することに限定されており、米軍支援も認めていなかった。前提が大きく違っていて、首相発言に根拠はない。 (吉田昌平) 「戦争に巻き込まれる危険があるということは、間違っている」。安保改定論議が行われた五十五年前の国会で、安倍首相の祖父である岸信介氏はこう繰り返していた。