日本大学板橋病院をめぐる背任事件で逮捕された日大元理事の井ノ口忠男容疑者(64)が東京地検特捜部の調べに対し、医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」(大阪市)前理事長の籔本雅巳容疑者(61)と相談し、逮捕容疑となった取引の「お礼」の趣旨で、日大の田中英寿理事長(74)や田中氏の妻に総額7千万円を渡したと供述したことが分かった。田中氏は受領を否定しているとされるが、このうち1千万円についてはお札を束ねた銀行の帯封が田中氏の自宅から見つかったという。 特捜部は田中氏側近の井ノ口容疑者らが日大に計約4億2千万円の損害を与えたとみており、その一部が事実上トップに還流した疑いがある。一方、井ノ口容疑者は、資金作りの仕組みや提供した現金の趣旨は田中氏に報告していないと供述。特捜部は田中氏の関与を慎重に調べている。 複数の関係者によると、井ノ口容疑者は籔本容疑者と相談し、①2020年2月6日、都内のホテル