昨年、アングレーム国際漫画祭でキュルチュラ読者賞に輝いたBD『悪趣味』。 男性作家が圧倒的に多いBD界において、まだまだ珍しい女性作家による作品で、 第一次世界大戦中に脱走兵となり、 逃げのびるために女装することを余儀なくされた男とその妻を描いた物語です。 あらすじだけでも非常に気になるこの作品を、 『サルヴァトール』『フォトグラフ』などの翻訳を手がける 翻訳家の大西愛子さんにレビューしていただきました! 昨年のアングレーム国際漫画祭では惜しくも最優秀作品賞を逃したものの、キュルチュラ読者賞を受賞。またACBD(フランスのBD批評家ジャーナリスト協会)主催の2014年BD批評大賞をはじめ様々な賞に輝いている。 ストーリーは以下の通りである。 第一次世界大戦前夜、ポールとルイーズはごく普通の若い男女として愛し合い、やがて結婚する。しかしポールの兵役のため、早々にふたりは離ればなれに。本来なら
先週のBDfileにて、いよいよ開催決定となった 第2回海外マンガフェスタの情報をお知らせしましたが、 記事内でもお伝えした通り、今年も ニコラ・ド・クレシー フアンホ・ガルニド アルチュール・ド・パンス という超人気BD作家3名が、このイベントに合わせて来日する予定です。 ニコラ・ド・クレシー、フアンホ・ガルニドのお二人については すでに単行本でいくつかの日本語版が出版されているので、 ご存知の方も多いかと思いますが、 アルチュール・ド・パンスに関しては、 まだよく知らない、というBDファンの方も多いのではないでしょうか。 そこで、アルチュール・ド・パンス来日にあわせ『カニ革命』(仮)改め、 『カニカニレボリューション』の翻訳を手掛けた原正人さんに アルチュール・ド・パンスの出世作『かわいい罪』について紹介していただきました。 先週のBDfileでは、10月20日(日)に行われる第2回海
■フアンホ・ガルニド 二人目は、黒猫探偵ブラックサッドが活躍するハードボイルドコミック 『ブラックサッド』の著者フアンホ・ガルニドさんです ガルニドさんは、1967年、スペイン・グラナダ生まれのBDアーティスト。 スペインのアニメーションスタジオでアニメ制作に携わったのち、1993年にフランスに移住。 モントイユのウォルト・ディズニー・アニメーション・フランスで アニメーターとして勤務するかたわら、原作者のフアン・ディアス・カナレスとともに 『ブラックサッド』シリーズ第1作「黒猫の男」を描き上げ、2000年にBD作家としてデビューします。 『ブラックサッド』シリーズは現在、4巻までが出版されていますが、 フランス国内で数々の賞を受賞している他、 世界各国で翻訳版が出版されている超人気タイトルです。 日本でも、2005年に早川書房より 第1巻「黒猫の男」、第2巻「凍える少女」の邦訳版が出版さ
日本語で読めるBDが少しずつ増えてきている昨今ですが、 まだまだ日本で知られていない傑作BDがたくさんあります。 そこで今回は、一部BDファン、SFファンの間で 密かに話題になっていたSFアクションBD 『ZAYA ザヤ』 を 翻訳者の原正人さんに紹介していただきました! しばらく前にこのBDfileで日本マンガ・アニメの影響下に描かれたBDとして、クリストフ・フェレラの『ミロの世界』とバスティアン・ヴィヴェスの『ラストマン』を紹介した。 『ミロの世界』を紹介した際に述べたように、フランスでは1990年代半ば以降、日本マンガに触発された作品が登場し始め、現在では絵柄や単行本の版型まで日本マンガに似せた作品が出版されているほどである。 今回紹介するジャン=ダヴィッド・モルヴァン作、ファン・ジャー・ウェイ画『ZAYA ザヤ』は、版型こそ通常のBDと変わらず大判だが、作画スタイルの点では、やはり
先週のBDfileでもご紹介しましたが フランス漫画界がいま最も注目する新世代のBD作家 バスティアン・ヴィヴェスの『塩素の味』が先日発売され、 Twitterなどで、じわじわと高い評価の声をいただいています! 塩素の味 バスティアン・ヴィヴェス[著] 原正人[訳] B5判変、226ページ、上製、フルカラー 定価:2,800+税 ISBN 978-4-7968-7159-4 © Casterman, 2008, 2009 All rights reserved. 好評発売中! 作品自体の魅力もさることながら、 バスティアン・ヴィヴェスというBD作家の魅力の一つに、 BDと日本のマンガ、双方のいいところを柔軟に取り入れながら、 まったく新しい作品を生み出している、ということが挙げられると思います。 そこで今回は、ヴィヴェスが特に日本のマンガを意識して制作しているという 最新作『ラストマン』に
昨年11月に初来日し、海外マンガフェスタで大友克洋さんと対談したことでも話題になった〔※〕 人気BD作家バスティアン・ヴィヴェスの初の邦訳作品『塩素の味』が、 ついに本日24日(水)、発売になりました! バスティアン・ヴィヴェスは1984年生まれ、29歳のBD作家。 BD作家の中では若手の部類に入りますが、 すでにフランス国内でさまざまな賞を受賞し、新作が出るたびに話題になるなど、 フランス漫画界の新世代を代表する、いま最も注目されているBD作家の一人です。 日本語版の帯には、なんと『センネン画報』『cocoon』などの作品で知られる 人気漫画家の今日マチ子さんから素敵な推薦コメントをいただきました!
3回にわたってお送りしてきました クリストフ・フェレラさんを迎えてのBD研究会レポートも今回で最終回です。 (過去の記事はこちらから→ 第1回 第2回) 前回に引き続き、質疑応答を交えながらBD作品『ミロの世界』の制作裏話と、 BDの作画テクニック、アニメとの違いなどより深く掘り下げたお話を伺っていきます! ■BD特有の作画手法 原 「クリストフさんはずっとアニメ制作に携わってきたわけですが、BDを作るにあたって、例えばフキダシの位置なんかに悩んだりはしませんでしたか?」 フェレラ 「ずっとフキダシのないアニメの世界で仕事をしてきたので、バンド・デシネを描くにあたって、"フキダシを入れると俺の絵が隠れてしまうなあ"ということは、まず気になりました。フキダシを入れる位置についてはやはり難しいものがあって、自分自身まだしっかりとわかっているとは言えません。ただ、原作のリシャールがもともとバンド
前回に引き続き、日本在住の現役アニメーターにしてBD作家、 クリストフ・フェレラさんをゲストに迎えて行われた BD研究会の模様をお送り致します。 今回はいよいよ、今年3月に発売された フェレラさんのBD作品『ミロの世界』についてのお話を 〔前編〕〔後編〕の2回に分けてお送り致します。 ミロの世界 Le Monde de Milo 1巻(以下続刊) [著者] Richard Marazano, Christophe Ferreira [出版社] Dargaud 2013 原 「それでは、引き続きクリストフさんが3月に出版した『ミロの世界』のお話をうかがおうと思います。回覧している原書は、みなさんひと通り見ていただけましたでしょうか。全2巻で完結予定で、第2巻は8月に発売予定だそうです。さきほどクリストフさん本人から聞いたんですが、ご本人としては、第1巻は色がちょっと暗くて気に入らないそうで(
今回は、以前BDfileでご紹介した 日本在住の現役アニメーターにしてBD作家、クリストフ・フェレラさんを ゲストに迎えて行われた、2013年6月2日のBD研究会の模様をお届けします。 (※BD研究会についての詳しい説明はコチラ) BD作品『ミロの世界』の制作裏話から携わったアニメの話まで、 フェレラさんから興味深いお話をたくさん伺うことができました。 数回に分けて連載予定ですが、 今回は、フランスと日本、両方のアニメ制作現場を経験してきたフェレラさんの これまでの経歴と、アニメーターとしての仕事をテーマにおおくりします! 原 「ではまず、クリストフさんのこれまでの経歴について、ご本人からお話していただきたいと思います。よろしくお願いします」 フェレラ 「はじめまして。日本語がそこまで上手くないので、フランス語で失礼します。今年37歳で、パリ出身です」 ■アニメーターを目指すまで フェレラ
ラ・ドゥース [著] フランソワ・スクイテン [訳] 古永真一 定価:3,200円+税 好評発売中 © 2012 Casterman, Bruxelles All rights reserved. ⇒『ラ・ドゥース』日本語版特設サイト 『闇の国々』シリーズでは、ブノワ・ペータースとのタッグで制作を行っているスクイテンですが、 本作『ラ・ドゥース』はスクイテン初の単独作品となります。 そしてスクイテンが今作のテーマに選んだのが......「鉄道」! ブリュッセルの地下鉄ポルト・ドゥ・アル駅やパリの地下鉄アール・ゼ・メティエ駅の デザインを手掛けたことでも知られるスクイテンは、実は大の鉄道好き。 2014年にオープン予定のブリュッセルの鉄道博物館ではコンセプトデザインも担当しているそうです。 本書『ラ・ドゥース』では、1930年代に実際にベルギーで活躍した幻の流線形蒸気機関車、 12.004号
先日5月31日、雑誌『イラストレーション』などで知られる玄光社さんから 『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』が発売されました。 ここ数年、弊社をはじめ、その他さまざまな出版社から 邦訳刊行されるバンド・デシネの数が徐々に増えつつあり、 それに応じて、雑誌やWEBなどでもBDが取り上げられる機会も多くなってきましたが、 ついに!待望の、丸ごとBDを取り上げたガイド本の登場です! このガイド本、現在日本で出ているBD邦訳本をほぼすべて網羅している他、 各作品の図版もふんだんに掲載されており、 BD入門書としては完璧な内容!といっていいです。 そこで今回は、監修という立場でこのガイド本の制作にも 深く携わっていらっしゃるBD翻訳者の原正人さんに、 『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』の魅力について たっぷり語っていただきました! 最後にイベントの告知もありますので、お見逃
ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら
現在、ユーロマンガにて『ゾンビレニアム』を連載中の人気BD作家アルチュール・ド・パンス。 モンスターたちを集めたテーマパーク「ゾンビレニアム」で巻き起こる さまざまな騒動をユーモアたっぷりに描いたこの作品は、 昨年のアングレーム国際漫画祭にて、子ども向け作品の最優秀作品賞を受賞(第2巻)し、 フランス国内でのアルチュール・ド・パンスの評価はますます高まっています。 ゾンビレニアム Zombillénium 第1巻: Gretchen 第2巻: Ressources Humaines [著者] Arthur de Pins [出版社] DUPUIS ※詳しいストーリーはユーロマンガ公式サイトにて 前回、日本のマンガ・アニメに影響を受けたフランス人BD作家としてクリストフ・フェレラを紹介した。彼とはまた違った意味で日本のマンガ・アニメの影響を受けた作家にアルチュール・ド・パンスがいる。 アルチ
日本のマンガやアニメが広く一般に親しまれているフランスでは、 当然のことながら日本のアニメ、マンガに影響を受けたクリエイターが大勢います。 そこで今回は、東京在住で、現役アニメーターとして 『LUPIN the Third -峰不二子という女-』などの日本アニメの制作に携わっている クリストフ・フェレラ氏によるBDデビュー作『ミロの世界』を 翻訳者の原正人さんにレビューしていただきました。 記事の最後にお知らせもありますので、どうぞお見逃しなく! 日本のマンガ・アニメがフランスで人気を博していることはよく知られている。フランスで年間に刊行されるBDも含めたすべてのマンガの刊行点数の約3分の1が日本のマンガの翻訳だというから相当なものである。 もちろんすべてがベストセラーというわけではない。ACBDが毎年年末に発表している報告書によれば、2012年度に刊行された仏訳マンガで刷り部数が5万部を
日本語で読めるBDが少しずつ増えてきている昨今ですが、 世界には、まだまだ日本で知られていないBD作家、傑作BDがたくさんあります。 そこで今回は、『アンカル』『メタ・バロンの一族』『闇の国々』など 数多くの日本語版BDを手掛ける翻訳者の原正人さんに ドイツ出身の人気BD作家、アンドレアスを解説していただきました! アンドレアス(Andreas)というBD作家をご存じだろうか? 1951年ドイツ生まれ。現在62歳だからかなりのベテランである。今のところ邦訳はない。 日本ではティエリ・グルンステン『線が顔になるとき―バンドデシネとグラフィックアート―』(古永真一訳、人文書院、2008年)の巻末に収められた略伝と山下雅之『フランスのマンガ』(論創社、2009年)でほんの少し紹介されているだけ。『フランスのマンガ』によれば、アンドレアスはコマを独自に編成する「カットの天才」。アンドレアスを紹介し
『ユーロマンガ』Vol.8でも一部情報が解禁されましたが、 改めて、今年度のShoProの刊行ラインナップを発表します! BDファンにはすでに名の知れた作家から、 日本初上陸となる実力派作家まで、今年もさまざまなBDの魅力をご紹介していきます。 気になる作品は、ぜひ今からチェックしてください!
前回に引き続き、フランス人漫画研究家ブランシュ・ドゥラボルドさんと BD翻訳家の原正人さんのインタビューをおおくりします。 前編では、BDから日本マンガまで、その歴史的変遷をたどりつつ ドゥラボルドさんの興味の対象の移り変わりを追いましたが、 後編では、フランスにおける日本の少女マンガ、女性向けBDを中心にお話を伺います。 ■フランス人が読む少女マンガ ドゥラボルド 「日本のマンガ家では、水木しげるさんなどが特に好きなんですが、少女マンガでは、魚喃キリコさんを高く評価しています。話はどこか痛々しいんですが、エレガントなタッチには単純に目を奪われますね。それでいて文学的な面があるのも素晴らしいです」 原 「日本のマンガ好きと少し感性や観点が違ったりするところもあるんでしょうかね。ぼくは個人的には魚喃キリコさんの作品はちょっと読みにくいと感じるんです。岡崎京子さんの方が好きかな」 ▲魚喃キリコ
今回のBDFileは、フランス人漫画研究者ブランシュ・ドゥラボルドさんと、 BD翻訳家、原正人さんのインタビューをお送りします。 BDに対する深い教養もさることながら、流暢な日本語にも驚かされるドゥラボルドさんは、 現在、博士課程で日本に留学中。 男性多数のBD研究界において、まさに紅一点の存在です。 そんな彼女に、フランス人女性ならではの視点で、 BDの読書歴からBD作家の小話、日本の少女マンガまで幅広く語っていただきました! 「前編」「後編」の2回に分けてお送りします。 ■きっかけは『ア・シュイーヴル』 原 「本日はよろしくお願いします。ではまず、そもそもBDを研究し始めたきっかけについて教えてください」 ドゥラボルド 「小さい頃からBDが好きで、ブノワ・ペータースのエッセイや、BDの研究誌『Neuvième Art(第九の芸術)』などを読んでいたんです。今は日本のマンガも研究対象です
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く