昨年末の自民党税制大綱で、ふるさと納税の上限を2倍に引き上げるとの拡充策が盛り込まれた。ふるさと納税は、2007年、第1次安倍晋三政権当時に、総務大臣だった菅義偉氏の発案で創設された。自分で選んだ自治体に寄付すると払った住民税の1割程度までを税額控除するというものだ。筆者もそれに深く関わった。 本コラムでも、東日本大震災直後に、被災地への支援は、ふるさと納税で、と書いたが、大震災での寄付に大いに利用された。 この制度が画期的なのは、税額控除の仕組みと寄付金を合わせているので、事実上、税の使い方を国民が選ぶことができることだ。これは、政府(官僚)が税で徴収して政府(官僚)が配分するのが公正である、という官僚の考え方とはまったく反している。 そのためか、ふるさと納税創設に官僚は猛反対だった。それを、当時の菅総務相が剛腕で押し通して成立させた。今では誰でも知っている制度になっているが、先見性のあ