JR北海道の深川駅からバスで3時間半。降り立ったところは暗闇だった。雪の中、去りゆくバスの後ろ姿を見送りつつ、不安になって辺りを見回す。遠くにポツンと灯りが見えた。あそこだ。私は、灯りに向かって早足で歩き出した。 「おかえりなさい」 宿の主人の「とどぐま」さんこと富岡達彦さんが、そう言って玄関先で迎えてくれる。初めて来た場所なのだが、思わず「ただいま」と答えてしまった。まるで自分の家に帰ってきたかのような懐かしさを感じる。 ここは旅人宿「天塩弥生駅」。北海道名寄市弥生にある民宿だ。天塩弥生駅というのは、1995年9月に廃線となった深名線に実際に存在した駅である。廃線時に駅舎は撤去されてしまったが、その天塩弥生駅の跡地に、北海道らしい三角屋根の木造駅舎を蘇らせ、民宿にしたのがこちらの旅人宿「天塩弥生駅」なのだ。 FM番組に強制出演 靴を脱いで上がると、真ん中に大きなストーブを備えた広間があっ