今回の地検の決定は、日中の対立(-1,-1)から日本の屈服(1,2)に状態を変更する合理的な判断です。中国の態度が変わらないかぎり、日本が屈服することが双方にとって事後的には最適だからです。しかしこれはゲームが1回かぎりの場合で、問題が繰り返される場合には、相手が2つの均衡のどちらを選ぶかについての予想が重要です。 上の図を一般化してチキン・ゲームが繰り返される消耗戦(war of attrition)を考えて混合戦略も含めると、屈服する確率は利得の減少関数になります。つまり日本が簡単に屈服することは、領土を守ることによる利得が小さいというシグナルを出して、中国の攻撃を誘発する結果になります。 逆にいうとチキン・ゲームに勝つためには、合理的に行動しないコミットメントが必要です。事後的に判断すると屈服することが合理的になるので、そういう利害を斟酌しないという機械的なルールを決めるのです。以前