なぜ移入種は排除されなければならないのか? ─紹介:ポーリー「アメリカの生態学的独立をめぐる対立」― Why should introduced species be eliminated? 瀬戸口明久 SETOGUCHI Akihisa 2000年8月、和歌山県は、県内に生息するタイワンザル、およびニホンザルとタイワンザルの混血個体すべてを捕獲して排除する計画を発足させた。この事業は大きく報道され、その是非をめぐって激しい議論がまきおこった。動物の権利を擁護する動物愛護団体などが、県の提示した安楽死という処分方法に反対したためである。この問題の発端は、1955年ごろに私立動物園で飼育されていたタイワンザル数個体が逃げ出し、そのまま放置されたことにある。1999年の調査で混血ザルが約200個体にまで増加していることが確認され、捕獲・安楽死事業が発足した。安楽死計画への激しい反対を