年金支給開始年齢の引き上げ案が再浮上してきた。政府の社会保障制度改革国民会議は、67〜68歳を念頭に検討する方針を示している。 【図で見る】厚生年金、61歳支給開始へ 繰り上げ受給は慎重に 現在、65歳に向けて段階的に引き上げられている途中だ。これをさらに上げようというのである。 40年後の日本は、年金受給者となる65歳以上が総人口の4割を占める。これでは、年金に限らず社会保障制度はとても維持できないだろう。高齢世代にも支払い能力に応じた負担を求めるしかない。 日本ほど高齢化が進むわけではない米国やドイツは67歳、英国は68歳まで引き上げる予定だ。高齢者の雇用確保策とセットでなければならないが、日本にとって避けられない課題だといえよう。 ◆対象者は現在の若者 言うまでもなく、最大のポイントは国民の理解だが、支給開始年齢の引き上げを「現在の年金受給者に負担を求める政策」であると誤解