「もっと相手の気持ちを考えてあげていたら……」「もっと場の空気を読めていれば……」他者を理解しようとする時、人は必ず想像力を使っている。人間関係を円滑にするための「対人想像力」とは何か? 明治大学文学部教授の齋藤孝先生が解説する。 (本記事は齋藤孝著『もっと想像力を使いなさい』より、抜粋したものです) 現代は、ハラスメント(harassment=迷惑をかける、嫌がらせをすること)や、コンプライアンス(compliance=法令遵守)という問題が常にあります。昭和の時代でしたら傍若無人に振る舞っても許されたようなことでも、今の時代には、「これを言ったらこの人が こう傷つくだろう、だからやめておこう」という配慮が求められる時代です。例えば、一昔前まではスポーツの監督やコーチが勝利のために選手たちを叱咤激励し、時には「愛のムチ」で活を入れながら猛練習をさせるのは当たり前でした。勝つためには鉄拳制