東京都練馬区大泉学園町。辺り一帯はいま、「生産緑地銀座」として、不動産業界の注目を集めている。住宅街をぬうように生産緑地と呼ばれる農地があちこちにあり、2022年にも大量に売り出される可能性があるからだ。野菜などを栽培する土地の所有者は「私はもう高齢。子供が農業を継いでくれるかどうか」「早く宅地化して売りたい」と話す。 生産緑地は全国で約1万3千ヘクタール(16年末)あり、東京ドーム約2780個分に相当する。大半が東京、大阪、名古屋の三大都市圏に集中する。理由はその生い立ちにある。 戦後の経済成長に伴って、都市部の農地は住宅地へと変貌(へんぼう)していった。農家に土地を売ってもらう政策誘導も行われたが、節目となったのはバブル景気が崩壊した1992年。政府は、都市部に残る農地を宅地化する方針を示す一方、保全すべき農地を「生産緑地」に指定し、所有者が農業を続けることを条件に、固定資産税を大幅に