生ぬるい日だった。冬からのトンネルをぽかりと抜けて、地上に顔を出したみたいな陽気だった。天気予報が雨は降るような降らないような曖昧なことを伝えたが、裏腹に雲からは日射しが覗き込んでいた。曇りの日の日光は晴れの日よりも尊いように思える。「天使のはしご」とよぶのだと、いつか遠い原っぱで教えてもらったことがある。厚い雲から伸びる光の線は気高く意味ありげにみえた。その一方で暗い雲は意地悪で今日を憎んでいるようだった。 こんな日ははじめてではなく、いつかもこんな天気だった。思い出す。これはテレビの映画の話だが、女の人がいて、かの女は幼いころ親にいじめられていた。悲しんだり自分を傷つけたりするうちにどうにか大人になった。両親はとっくに病気で死んでいて、女は過去に悩まされた。ある日、夢を自由にできる能力が身につき、夢ではあるが自分の過去に介入することができた。夢の中ではすべてが可能で、それでかの女はかつ