自民親中派の草分け 鳥の目。高い位置から「俯瞰(ふかん)的に全体を見回して見る」ことをこう譬(たと)える。本紙の論説委員長を長年務めた外交評論家の井上茂信氏は新聞には鳥の目が必要だとしばしば論じていた。新聞は少なからず鳥の目を失い、一つの話題に「焦点化」し世論を煽(あお)りがちだからだ。通常国会が始まった現在、それはもっぱら自民党の派閥問題で、今ほど問われる日本外交はまるで枝葉のようだ。それで改めて鳥の目を思い浮かべた。 今年に入って日本外交を論じる社説や論説はさほど見掛けない中、毎日が16日付に「危機下の日本外交 国際秩序の再生へ行動を」と題する社説を掲げた。どんな行動なのかと読んでみると、鳥の目どころか目が点になってしまった。米国追従リスクが今後高まるから中国との対話が重要だとして石橋湛山元首相が唱えた「日米中ソ平和同盟」を称(たた)えていたからだ。 石橋氏は1956年12月から翌57