2023年4月、日銀の総裁に就任した灰色太郎氏は、金融政策決定会合で政策変更を行うべきかどうか迷っていた。 日銀は金融政策の柱の1つとして、イールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)を2016年から導入していた。これは短期金利をマイナスにするだけでなく、10年物国債の金利水準を0%程度にしようと目標を定め、国債買い入れを行う政策である。これによって、短期から長期まで、金利全体の動きをコントロールするのが目的だ。 この政策は2023年の今も継続しており、その金利目標水準も0%程度でまったく変わっていなかった。乖離許容幅については、0.1%だったのを2021年3月に0.25%に変更した。 だが、乖離許容幅といいながら、実質的には長期金利国債10年物利回りを0.25%にくぎ付けにするために、連続指し値オペというものを2021年3月に導入し、2022年4月末からは毎日行うこととした。この連
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