親が育てられない子供を受け入れる慈恵病院(熊本市)の「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」の運用実態を検証する熊本県などの有識者会議は26日、「社会的に『倫理観の劣化』を懸念せざるを得ない」と指摘する最終報告書を公表し、蒲島郁夫知事に提出した。 報告書によると、4月から9月末までに新たに9人の預け入れがあり、ポストが設置された平成19年5月からの合計は51人となった。うち幼児が2人、障害児が複数いた。利用理由は「戸籍に入れたくない」「生活困窮」などだった。 報告書は、障害児らの預け入れを踏まえ「ポストの存在が、顔の見える相談を忌避させている」と批判。ただ、慈恵病院が妊娠・出産にまつわる相談を多く受けてきた実績も含め「トータルでは、多くの生命がつながった」と評価した。