けえかほおこく1 ストラウスはかせわぼくが考えたことや思いだしたことやこれからぼくのまわりでおこたことわせんぶかいておきなさいといった。なぜだかわからないけれども それわ大せつなことでそれでぼくが使えるかどうかわかるのだそうです。 ちいさな子供が書いた作文ではありません。今回ご紹介する翻訳書、小尾芙佐訳『アルジャーノンに花束を』の冒頭です。大人になっても幼子ほどの知能しか 持たない主人公チャーリーが、人体実験まがいのIQ向上手術を受けるのを発端とする物語。この作品にはいわゆる地の文というものはなく、テクストはすべて チャーリーの書く「経過報告書」の形式をとっています。 この本を読みはじめて15分経ったか経たないかという頃でした。「あれ、この本ってノン・フィクションだったっけ」と思い、私は背表紙の説明書きと序文 を確かめました。著者は序文にこう記しています。 『アルジャーノンに花束を』は、虚